万葉集

成 立
 最古の歌集。成立未詳。
奈良時代初期頃から歌が集め始められ、それに大伴家持が手を加えたものといわれている。

歌とその特色
 約四五〇〇首が収められている。

  @相聞歌…恋等、思いを歌う
  A挽 歌 …死者を弔う歌
  B雑 歌 …相聞、挽歌以外

  に分類される。特色のある歌として、庶民の哀歓を素直に歌った「東歌」、「防人歌」などがある。
 万葉仮名(漢字の音などで、国語の音を表す。)を使用している。


代表的な歌
 憶良らは今はまからむ子泣くらむ
  それその母も吾を待つらむそ  
山上憶良











古今和歌集

成 立
 延喜五年(九〇五年)四月に醍醐天皇より最初の勅撰和歌集編集の勅命が下ったとされ、紀友則、紀貫之凡河内躬恒壬生忠岑の4人が編集を行った。

歌とその特色
 巻数は二〇巻、歌数は約一一〇〇首で、作者は約120人であり、百五十年にもわたって歌が集められている。
 それを分類すると次の三期に分けられる。

 ■第1期:万葉時代末頃から平安時代初期
 「よみ人知らず」として、作者は全て不明である時代。(研究の結果わかったものもあるが。)
 「万葉調
の特色である、素朴で率直な歌調の作が多い。

 ■第2期:六歌仙
 「六歌仙」とは、平安初期の歌人で、在原業平小野小町僧正遍昭喜撰法師大伴黒主文屋康秀の6人をいう。
 『万葉集』以降和歌がすたれ、漢詩が流行したが、六歌仙の活躍もあり、和歌が復活した。
 修辞技巧が盛んになったが、それでもまだ感情を素直に描いたものが多い。

 ■第3期:選者たち
 代表歌人は紀貫之凡河内躬恒壬生忠岑の選者と伊勢を加えた4人。
 
修辞技巧に富み、優美な調べが特徴。

代表的な歌
 世の中に絶えて桜のなかりせば
  春の心はのどけからまし
  在原業平

 人はいさ心も知らず故里(ふるさと)は
  花ぞ昔の香に匂ひける
  紀貫之